皆さんの健康
尿管結石について
Q:尿管結石はどんな病気ですか?
A:尿路結石の歴史は古く、約7,000年前のエジプト時代のミイラでみられた結石にさかのぼり、以後、今日まで私たちを苦しめてきた病気のひとつです。わが国では、男性7人に1人、女性15人に1人が一生で一度は尿路結石に罹患するといわれ、ここ10年間で急激に増加しています(2005年、日本尿路結石症学会)。
結石の成分で最も多いのはカルシウムで、シュウ酸と結びついたシュウ酸カルシウム、リン酸と結びついたリン酸カルシウムの2種類で全体の約80%を占めます。他に尿酸、チスチンなどがあります。
Q:予防法について
A:結石は再発率が高く、予防法は気になるところですが、決定的なものはありません。結石の形成には体質、食事、環境、ストレスなど様々な要素があり、特に体質、食事は重要な要素です。共通した予防法としては水分を多くとることと(1日の尿量2L程度が目標)、適度な運動を行うことといわれています。
Q:治療法について
A:現在、尿路結石の治療で代表的なものが体外衝撃波結石破砕術(ESWL)です。体外衝撃波による腎・尿管結石破砕術は、1980年にドイツで医療機器として実用化されました。これは第二次世界大戦中に潜水艦を攻撃する武器として開発されましたが実用化には至らず、戦後に医療機器として再開発されたものです。日本では1984年に導入され、1988年に保険適用となり、現在、国内では約900施設に設置され結石破砕の第一選択の治療法となっています。 当院では2007年に最初に破砕装置を製造したドイツ、ドルニエ社の装置を導入し、現在まで約350症例の治療を行っています。この治療法の特徴としては、
①お腹を切らずに治療できる。
②腎・尿管を問わず治療が可能。
③外来での治療が可能。
④副作用や後遺症の心配はほとんどない。
⑤高齢の方や心臓病・糖尿病などの合併症のある方も治療が可能。
⑥繰り返しの治療が可能。
などがあげられます。
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は、体外の装置によって作られた音波の一種である衝撃波を結石に集中させて結石を砕き、砂状にして尿と一緒に体外へと排出させる治療法で、その原理は、尿(液体)と結石(固体)の音の伝わり方の差を利用して破砕するものです。したがって膀胱や尿管に尿がたまった状態の方が破砕されやすく、逆に周辺の消化器にガスが溜まっていたり、肥満など脂肪によって衝撃が緩和され効果が下がることもあります。
治療を行う際は直前にレントゲン写真で結石の位置、大きさを確認し、痛み止めの座薬を使用したうえで、治療台に横になります。次に、透視装置で衝撃波の焦点を結石に合わせ、弱い衝撃波で治療を開始し次第に出力を上げていきます。1秒間に1回の衝撃波を発射し50分間で3,000発の衝撃波を結石に照射します。結果はすぐに判明する場合もありますが、最終的には1週間後のレントゲン写真で判断します。