令和２年度 公立岩瀬病院 病院指標

当院の内科は循環器内科と消化器内科が中心となっています。高齢などの原因から心機能が低下する『心不全』の症例が1位となっています。次いで『アルコール肝障害』、『慢性C型肝炎』の症例が多くなっていますが、これはCART （Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy: 腹水濾過濃縮再静注法の略）の治療を行う患者さんが、繰り返し入院していることによります。これは、肝疾患により貯まった腹水を濾過濃縮して、がん細胞や細菌を除去し、アルブミンなどの有用なタンパク成分を回収する治療法です。また、当院では内視鏡による治療を積極的に行っており、内視鏡治療を伴う『小腸大腸の良性疾患』や『胆管（肝内外）結石、胆管炎』が症例数の上位にきています。

当院の小児科は１位が肺炎、２位がウイルス性肺炎となっており、小児の感染症に対する治療が中心になっています。また、平成29年度に産婦人科病棟を開設して以来、新生児にかんする症例が増加し、令和2年度も新生児に関する疾患が3番目に多い症例になっています。小児は大人に比べ回復が早い傾向にありますが、症状の悪化で早急の対応が必要な状況の場合も多々あります。当院ではそのような状況でも対応できるよう医師・看護師含め体制を整えております。

当院の外科は、腹腔鏡での手術技術が高いことが特徴であり、腹腔鏡手術の指導医・認定医が複数名常勤しています。腹腔鏡での手術では傷も小さく、開腹手術より術後回復が早いとされています。症例上位はヘルニア、虫垂炎、胆のう結石などほとんどが腹腔鏡での手術を行った症例となっています。また、大腸癌、胃癌、肝癌などの悪性腫瘍に対しても腹腔鏡下手術を積極的に実施しております。

当院の整形外科の特徴は、大腿骨頚部の骨折による手術と胸椎・腰椎の圧迫骨折の症例が多く、これらは高齢者に多くみられる傷病です。また、当院の整形外科部長は足部・足関節疾患が専門であり、足関節・足部の骨折が上位の疾患となっています。

正常分娩は医療保険を使用した入院とはカウントされないため、流産に伴う入院、妊娠糖尿病など妊娠合併症に伴う管理入院や異常分娩、婦人科疾患である子宮筋腫や卵巣腫瘍による手術入院などが上位の疾患となっています。

当院泌尿器科では、前立腺癌が疑われる患者さんに対して、前立腺の細胞を採取する前立腺生検に伴う入院が最も多い症例となっています。また、腎盂腎炎や膀胱炎などの尿路の感染症疾患や膀胱腫瘍に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術（TUR-Bt）の症例、尿管結石の治療など、泌尿器や男性生殖器の治療を行っています。

当院内科で最も多いのは腹水濾過濃縮再静注法（CART ）という治療で、これは肝疾患により貯まった腹水を濾過濃縮して、がん細胞や細菌を除去し、アルブミンなどの有用なタンパク成分を回収する治療法です。また、内視鏡による治療を多く実施しており、内視鏡を用いたステント（閉塞した部位を広げるための管）の留置やポリープの切除、胃潰瘍などによる消化管出血の止血などを行っています。

当院の外科は、腹腔鏡での手術技術が高いことが特徴であり、腹腔鏡手術の指導医・認定医が複数名常勤しています。そのため、上位のうち4項目が腹腔鏡を使用した手術となっています。

上位2つの手術は主に大腿骨頚部骨折に対して行うもので、これは高齢者が転倒・転落した際によくみられる骨折です。当院では、地域連携パスを活用して、手術後にリハビリ専門病院へ転院していただくことで、より早く患者さんが機能回復できるよう取り組んでいます。

妊婦さんにとってはつらいことではありますが、自然流産は10～15％の確率でおこる、比較的多い症例です。その原因のほとんどが赤ちゃんの染色体の異常と言われています。流産の際、妊娠に伴う組織が子宮の中に残ってしまうことがあり、そのような際は手術を行い、排出をはかります。また、良性・悪性疾患を含めて子宮全摘術、子宮附属器の摘出が多く実施されています。

膀胱腫瘍に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術（TUR-Bt）が1位となっています。これは、お腹を切ることなく切除鏡とよばれる特殊な内視鏡（カメラ）を尿道から膀胱内へ入れて、内視鏡の先端についた電気メスで膀胱の腫瘍を削ぎ取る手術です。また、尿が出にくくなった患者さんに尿管を広げる管を入れる経尿道的尿管ステント留置術や血の塊を除去する膀胱内凝血除去術なども実施しています。