平成28年度 公立岩瀬病院 病院指標

当院の内科症例上位に関して、全国平均との比較で着目すべき点は、心不全と誤嚥性肺炎の平均在院日数と平均年齢です。心不全、誤嚥性肺炎の平均年齢はいずれも80歳代と高齢であり、加齢とともに全身状態の悪化、免疫力低下による回復力の遅延などの要因が重なり、在院日数も長期となっていると考えられます。当院では、長期臥床による合併症の予防の為にも、積極的にリハビリ介入をすすめております。特に嚥下訓練に力を入れ、必要に応じて嚥下内視鏡により呑み込みの状態を確認し、食事に移行できることを目標とし早期回復をめざして取り組んでおります。

当院の小児科疾患は、何らかの感染症が原因となって発症したと考えられる疾患が上位を占めています。小児は早期治療により回復も早い傾向にありますが、病状によっては脱水状態や呼吸状態の悪化で早急の対応が必要な状況の場合も多々あります。当院ではそのような状況でも対応できるよう医師・看護師含め体制を整えております。

当院の外科は、腹腔鏡での手術技術には定評があり腹腔鏡手術の指導医・認定医が常勤し執刀しています。症例に関してのデータでは虫垂炎が上位となっておりますが、腹腔鏡での手術では傷も小さく、開腹手術より術後回復が早く全国平均在院日数より短い日数での退院実績となっています。虫垂炎に関しては、ＤＰＣ名称が「虫垂炎手術なし・副病なし」が上位ですが、当院では炎症がある急性期は、抗生剤による保存的治療を優先し、炎症を抑えてから手術は約3か月後に予定し行うことも少なくありません。

当院の整形外科の特徴は、転倒による外傷・骨折による、治療及び、経過観察が入院契機となっている症例が多い傾向となっています。全体的に在院日数が長い要因として、退院後自宅療養が困難で、リハビリ施設への転院を希望されるケースが約半数と多いにもかかわらず、転院までの待機経過が長く、その結果平均在院日数が長くなっていると考えられます。当院では、そのような現状も踏まえ地域包括ケア病棟の導入を図り、急性期の治療がほぼ完了しリハビリ中心となった整形外科患者さんを、地域包括ケア病棟へ切り替えることで、患者さんに安心して療養していただけるよう病院全体として取り組み始めています。

泌尿器科常勤医師1名が増員となり、泌尿器科の領域が広がり、症例数も手術件数も増えました。特に膀胱・前立腺の悪性腫瘍に関する症例が多くみられるようになりました。

内科の内視鏡手術の領域は幅広く、ポリープ切除をはじめ、胆道系の排石術、ステント留置術、胃瘻造設術など高度な技術を要する手術も行われています。当院の内視鏡による手術でも大腸ポリープ切除後は2日間の経過観察後、排便を確認してから退院していただいております。

当院の外科手術の中でも、腹腔鏡下鼡径ヘルニア修復術は件数も多く小児から高齢者まで行っています。ヘルニア専門外来を設け患者さんの状態により高度な技術で対応しています。データでは見えませんが、当院の腹腔鏡下手術は高度な技術を提供しており、胃、腸、胆のう、肝、肺などの手術も行われています。内視鏡認定医、指導医の資格を取得している医師がサポートし技術指導も行われています。

高齢者の大腿骨頸部骨折は地域連携パスを適応しています。回復期はリハビリ目的のために転院となるため、転院率が高くなっています。

泌尿器科常勤医が1名が増員となり、泌尿器科の領域が広がり、症例数も手術件数も増えました。当院では尿管結石や腎結石に対しての治療として、体外衝撃波破砕術を行っております。また腹腔鏡下による腎悪性腫瘍手術も行われており、手術実績件数も増えています。